入院2日目(1)

今日は手術日。



でも朝から違う場所の2人部屋に引越す事になり、この日だけ独居になった。



香椎由宇ソックリの美人看護師に浣腸をしてもらった(自慢)

しかし、お腹空っぽ何も出ず、無駄な腸のぜん動運動にのたうちまわる



数時間後の全身麻酔に思いを馳せ、朝飯替わりの点滴を入れる。

 


点滴はずっとするので、針は明日まで血管に入れっぱなし。プラスチックの針(細い筒)だ

金属針で血管を刺し、抜くとプラスチック針だけが血管にセットされた。不思議だった

 

 

座りっぱなし血栓予防に、医療用ストッキングと呼ばれるハイソックスを履く

「ピッチリしています」とふくらはぎを計ってオーダーした割りに、サポートストッキングより

きつくなかった。ゆびの辺に穴があるのは、ムレ・足臭・水虫予防ではなく、指先の血色を

確認するための穴だそうだ。

 



午前11時、絶対に持ってくるなと言った「大量の甘い生モノ」を手に母と相方が到着

「だってお姉ちゃんが6人部屋ならこれくらい要るっていうから」と母が言うも

「まず一人1個、今すぐ食いなさい」と指示。点滴の甲斐無く、空腹だった私は

食ってはいけない甘いモノが、冷蔵庫にある事自体腹が立った



午前11時半、病室からストレッチャーに乗せられ、美人看護師にガラガラと別の棟まで運ばれた

動く天井を見ながら「寝ながら運ばれるなんて、大人になってからは無い事ですよねぇ」と言うと

「そうですよね、貴重な体験ですよね」と笑っていた


手術室の前の待機ルームの壁に、「笑気」「酸素」「窒素」「空気」とかかれた四角い蓋をみつける

み「これって病院の通路でよく見かけますけど、どうなってるんですか?」

看「穴みたいになってて、管をつけると気体が出るようになってるんです」

み「笑気ガス、って笑っちゃうんですか?」

看「うーん、笑っちゃうみたいですけど、使ってみた事ないですねぇ」

み「ちょっと吸ってみたいですよね」



などと、軽く医療ネタで笑っているとまもなく手術室に呼ばれた。

入院2日目(2)

小さい手術なのに、医師、看護師、麻酔科医など中で5人も待機していた



ロボットみたいな手術用照明や、初めて目にする機械が手に届く範囲に沢山あり

すごく触ってみたかったけれど、怒られるのでやめた。デコや胸に心電図のピコピコを貼り

麻酔医が「本日担当致します麻酔医の○○です。よろしくお願いします、緊張は…?」

楽しくて、あまりにウキウキしすぎて、わたしの顔は明らかに笑った状態だったので

「すみません、緊張してませんで。みなさんお仕事なのに、わたしだけ楽しそうにしてて

なんか、もう申し訳なくて」と皆さんに首だけあげて挨拶してみた。

一番偉い看護師さんが笑って「いいんですよ、私たちも仕事ですから

大丈夫ですよ、ゆっくりしててください」と不思議な返答をくれた

先生も一緒に笑っていた。



麻酔医「酸素とボーっとする気体が出るマスクをかけますから、ゆっくり深呼吸してくださいね。

ぼんやり眠くなったら、その後液体のお薬を腕から入れていって麻酔がかかります」



「はい」といいつつ「絶対に寝てなるものか」とマスクの酸素を吸いつつ、目を見開き

寝ないように頑張ってみたが、すぐに焦点が合わなくなりひどく目眩いがした。



そのまましばらく、顔をのぞき込まれた状態。でもカッと目は見開いて。



「数を数えて」と言われず、呼吸して天井を見る以外にする事がないので

かけ算をすることにした。

2の段。2×1=2……2×9=18  簡単すぎてすぐ終わった。

では7の段にしよう。…7×9=63……次は9の段にするか…?



「……さん、起きて下さい、手術終わりましたよ」

「へ?9の段は?」

気づくと既に手術台からおろされ、ストレッチャーに乗せられていた

「術時間45分の予定でしたけど、25分くらいで終わりましたよ。声出ますか?」

「……(スカスカ)」「まだ声出ませんね、すぐしゃべれるようになりますからね」



7の段で、液体の麻酔薬を入れられたらしい。全身麻酔フェイドアウトしていく感じではなく

「ON!」「OFF!」「そしてON!」みたいな感じだ。(正直もうすこし楽しみたい所だ)

尿カテーテルは入ったままで、喉の管は既に抜管した後だった。



また病室のある棟まで移動。男性看護師を含め、何故か4人ほど病室までついてきた。

まるで大名行列



病室の近く、足下の向こう側に、母と相方が見えた。

入院2日目(3)

ベッドまでストレッチャーで運ばれ「はい、ベッドに移りますからね」と言われたので、

普通にムクっと起きて「よっこらしょ」とベッドに移ったら、何か変な空気が流れた



「私、ストレッチャーから自分でベッドに移った人、初めて見た………」



4人の看護師の1人が呟いたのを聞いて初めて、ストレッチャーから患者が降りる時は

「運んで降ろされるもの」であり、あまり元気に自分で降りるものでは無いらしい事に気づいた



だから4人も居たのか…

なーんだ、じゃぁ帰ろうって感じで4人は帰っていた。



酸素マスクをつけられてけれど、瞬時に麻酔か覚めていて、吐き気もなく普通だったので

相方から財布を返してもらったり、読みたい本を出したりテレビを点けたりした。



 



術後1冊目の選択は「累犯障害者



担当看護師が「血圧計りますねぇ」と、腕に帯を巻いてシュコシュコすると「あっ」と

いう顔をした。「もう一回計りますねぇ」「……あれ?もう一回…」

デジタル表示を覗くと、『血圧 上90 下20』

20って何?



腕をすごくだらーんとして、また計り直すと下40まで持ち直した。

たまの休み、心臓だって休みたかったんだろう、多分。



マスクをつけた状態で、友人らに「今すぐ炒飯が食べたいです」という写メールを送った

母が「大丈夫?」と聞いたので答えた。「腹減った」

「明日まで我慢、我慢。大丈夫そうだね、じゃあママ達帰るから」



この日はまるまる絶食である。



午後3時半 空腹で目眩いがした



午後4時  空腹で腹が鳴り(この段階で既に胃腸が活動開始)、イライラし始める



食べてはいけない?もう腹は動いているのに。こんなに空腹なのにか?



「食べなくて良いよ」と違って「飲んでも食べても絶対ダメ」と言われると

絶対にやってやりたくなるのだ。(←この辺は相方が一番よく理解している)



午後4時半 空腹でイライラし、導尿カテーテルのせいで手の届かない冷蔵庫の中の

プリンを激しく憎く思う。廊下から聞こえる子供の声に爆発しそうになる。



午後5時  既に、中央区まで帰宅しているであろう相方にメール

【耳栓とアメを買ってきて下さい。のど飴系やフルーツ系ではなく『キャラメル』とか

『べっこう飴』とか『あんこ飴』とかそういう胃にノッシリくるやつ】

入院2日目(4)

「わかりました」のメールを受け、うっかり安心してうとうと寝てしまった

まだ来ない、飴まだ来ないと2時間寝たり起きたりイライラしていたら、足下で

ガサガサ音がする。手を伸ばしてみると、そこには買い物袋が



命の飴がそこに!!

眠っている私に気遣って、サンタさんの様にそっと飴を置いていってくれていたのだ



「きゃー!ありがとう!!」と普通の人間なら思うところなのだが、この時のわたしは

全身が食欲魔神だったので「腹減ってんのに、なんで起こさねーんだよ!!2時間も

待ったじゃねぇかよ。気づかなかったらどうするんだよ!!」と独り激高。

すぐさまキャラメルの封を3個開け、3つまとめて口に入れた



 



……至福



次にカンロ飴、そしてまたキャラメルと口に入れた。

ニヤニヤして撮影していると、看護師さんにみつかった

「た、食べちゃダメです!!!」



明らかにキャラメルを頬張っている状態で「食べてません、大丈夫です(←何が?)

撮影しているだけですから(←何で?)」と返答した。



午後10時 「お腹の音聞いて、腸が動き始めていたら、今晩は水分を取っても

良いですからねぇ」と先ほどの看護師さんがやってきた。

キャラメル食い過ぎで、喉がカラカラだったので、一刻も早く冷茶が飲みたい私は

ニッコリと「はい」といって腹を出した。

看「…お腹は大丈夫な様ですね。今、冷たいお茶もってきますから」


ストロー差してやって来たお茶には、氷がカラカラと浮いていて、冷え冷えの最高



すぐにも飲みたくて、ムクッと起きあがったら

看「え?えぇぇえ?? す、すごい……」

み「あ、起きちゃいけませんでしたか??」

看「大丈夫ですか?目眩とかお腹痛いとかそういうのは…?」

み「あ、平気です。なんともないみたいです。カテーテルが痛くて座りづらいですけど。

 ではいただきます」ゴクゴク…

看「キャー!!まって、ダメです、やめてください!そんなに飲んじゃダメです!」

み「?」

看「2口位飲んで、胃腸の調子とか、吐き気とかないか、様子みて…」

み「あ、大丈夫みたいです(だってもうさっきから食ってるし…)」

看「では、少しずつのんでいいですよ(笑)」



夜中に何度か点滴を交換されつつ、冷茶とキャラメルと読書で

術後の夜は更けていった。