今日のつぶやき。

昨日、ルーク父(夫)の片方の腎臓をとった。
上方に悪いやつがいたので、副腎もとるだろうと思っていたが
(悪い部分の予想サイズは7cm以上、実際は6cmだった)
とらなくても良さそうだった、とのこと。

術式の説明の際、ルーク父が「妻が摘出後の腎臓を是非見たいと
言うのですが、見せてもらえるのでしょうか?」と先生に
言ったところ、「見たいですか?」と快諾。
あまり実物を見たい人は居ない様で、だいたい写真で
説明するそうだ。

せっかく、いや、滅多に見られない活きの良い内臓を
私の様な「地球上の事を全て知ってから死にたい」人間が
見ないはずがないのだ。

「奥さんは看護師さんですか?それとも医療関係…?」
先生に尋ねられたが、
もう大人なので『いえ、おもしろそうだから』とは言えず
「えーっと、私、内臓が好きなんです」と訳の分からない返答をした。

ルーク父の電子カルテには「奥様が内蔵に興味があり、
術後摘出した臓器を見たいと希望」と記載された。


体が太っているので、脂肪のせいで手術の時間が
かかるであろうと言われていたが、
術後、執刀医が「思っていたより全然簡単でした、
普通の手術時間で終わりましたよ。出血もほとんど
ありませんでした。で、例の見ます?見ます?」
買い物のビニール袋にひき肉のパックを入れて
「ひき肉買ってきたよー」と言っている様な感じで
活きの良い腎臓をもってきた。

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処置室の流しでパックをひらいてくれた。
さすが摘出したばっかりの活きの良さ、
スーパーのお肉の様に鮮やかで新鮮な色だ。

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(自主規制)

み「へー、ここが癌ですね(見るとすぐにわかる)」
先「そうです、そうです。で、こっちのクリップがついてる
所が動脈につながっていたところで」
み「あ、血管ですねー。すごいなぁ。あ、この黒い部分が
焼いた所ですよね?」
先「そうです、そうなんです」

み「え、でもなんか、腎臓デカくないですか?」
腎臓は10cmちょっとだと思っていたが
ルーク父のは脂肪を除いても、
わらじ大というか、クロックス位の大きさがあった。
先「ルーク父さんだからですよ、普通はこんなに大きくありません」

「君の膵臓をたべたい」とかいうタイトルの話があるが
フニャフニャの安いホルモンみたいな膵臓よりも、
腎臓の方が食べ応えがあると思う。
表面に少し焼き目があったので、タタキでもいけるのかなと
瞬間思ってしまった私の感覚は、ちょっとどうかしていると思う。
食べたい気持ちは全く起きないが、表面の脂肪で、
焼きあがるまでに、かなり火や煙が出るだろうなと思った。

数時間前までお腹に存在していて機能していた腎臓は
彼とも長い付き合いだが、私の事も知っている細胞だと思うと
癌化したとはいえ、ちょっと愛着があった。
(持ち帰りたい程ではない。家には要らない。)
他人の内臓を見た時とはちょっと違う、感慨深い出会いだ。


さらば、ルーク父腎臓
さらば、ルーク父の腎臓内腫瘍
さらば、銀河鉄道999
さらば、少年の日よ
(生研に行ってね)