急な出来事。

数日前、相方の所に電話が入った。
「母さんを札幌で休ませて欲しい」と相方の兄からだ

相方の母ちゃんは、責任感が強い働き者故に、心身ともに疲れやすい人だ。
繊細な気遣いと放縦と、優しさと強さと弱さと不満と思いやりとと
幸福と絶望という全て裏腹で複雑な感情が、時折、普通の人より
「大きなうねり」になって姿を見せる

アタシはただただ、相方の母ちゃんから可愛がられているメル友である。
親戚のおばちゃんに嫌な事を言われても、母ちゃんはずっと
私の味方で一緒にいると笑って、愚痴を言い合っては「ほんと嫌よねー」と
笑ってテレビを見ても、ただ笑って話す友達みたいな間柄だ

相方と母ちゃんは仲が良いし、よく喋る
だからアタシらの家に来て、まったり息抜きしていくと元気になる

仕事が終わって、相方は車を出した
そして、兄嫁やお友達やお父さんが持たせてくれた沢山のお土産と一緒に
母ちゃんはやってきた

4ヶ月ぶりに見る母ちゃんは、すっかり憔悴、ギリギリ立てる状態だった
「こんなに痩せちゃった……横になっても良い?」と
薄い煙みたいな小さなオーラで、着いてすぐ
倒れ込むように布団に入った

日々の肉体労働の中、睡眠する事が唯一の癒しだった母ちゃんから、
睡眠時間を奪ったのは、更年期のホルモンバランスの崩れっと思われる

不景気、家族、小さな悩み事は母ちゃんの中で処理出来ないほど
超大に膨れあがり心も体も蝕んだ。
心の病院も行っているが、悩み事が日常の中に有るので
癒される間もなく、どんどん悪くなってしまったらしい

実は、アタシは電話で長い間話してきたので、状態が悪い事は知っていた
だから、休ませてあげる事だけを念頭においた

くり返し「眠りに対する欲求」と「死への願望」を口にする母ちゃん。
座っているのも容易ならず、横になっても体が痛く、全ての物が
恐ろしく見え、不安でいることを続けて口にしていなければ、潰されそう。

もってきた大量のお土産の中に、何故か生の“真鱈の子”が有るのを発見。
「母ちゃん、生のタラコがいるよ?」ときくと、布団の中からじゃ細い声で
「あんたたちに美味しい子和えを作ってあげようと思って買ってきたの…」と言う。

なんだ、こんなになってるのにアタシらに美味しい物を作ってくれりの?
もう、人の事ばっかりなんだから
母ちゃんらしいけど、こんな時はちゃんと休まなきゃダメですよ。